【HAKOアクション】植生保護柵の草刈りとモニタリング|箱根シカ塾〜森を育てる、草刈り〜参加レポート

箱根の豊かな自然や環境を次代へとつなぐため、私達にできる小さな実践や、現場での取り組みをお伝えする“HAKOアクション”。
今回は、2026年10月18日(日)に「Hakone Deer Action」主催で開催されたイベント「箱根シカ塾 〜森を育てる、草刈り〜」に参加し、箱根の森で実施した植生保護柵(シカ柵)の草刈りメンテナンスと、そこから見えてきた自然の力強い回復の様子をご紹介します。
目次
- 1. 増え続けるシカと、箱根の森が抱える植生課題
- 2. 設置から2年|植生保護柵(シカ柵)内の劇的な変化
- 3. 「始めることはできても、続けることは難しい」保全のリアル
- 4. 月1回の定期モニタリングへ|変化をデータで追う姿勢
- 箱根の自然とともに歩むHAKOアクション
- 参考・関連リンク一覧
1. 増え続けるシカと、箱根の森が抱える植生課題
現在、箱根をはじめとする全国の山々では、ニホンシカの生息数増加や生息域の拡大に伴い、下層植生(林床の草花や低木)が過剰に食べられてしまう「食害」が深刻な問題となっています。
下層植生が消えてしまうと、特定の植物が姿を消して生物多様性が低下するだけでなく、雨が降った際に表土が流出しやすくなり、土砂崩れや樹木の衰退を引き起こすなど、森林生態系全体に大きな影響を及ぼします。
こうした課題に対し、地域の自然を守るべく立ち上がった「Hakone Deer Action」では、学びと実践の場として「箱根シカ塾」を開催し、地元の有志の仲間たち、イベント参加者の皆さんとともに具体的な保全活動に取り組んでいます。

2. 設置から2年|植生保護柵(シカ柵)内の劇的な変化
今から2年前の2024年、私達は箱根の森の一角に、シカの侵入を防いで植物を保護するための「植生保護柵(シカ柵)」を設置しました。
今回の「箱根シカ塾 〜森を育てる、草刈り〜」では、柵のメンテナンスを兼ねて現地を訪れましたが、2024年の設置当初と現在の様子を比較して、その変化の大きさに驚かされました。
- 植物の生育具合の圧倒的な違い:シカ柵の外側はシカに食べられて植物層が乏しい状態ですが、柵の内側では草木がぐんぐんと背を伸ばし、青々と茂っています。
- 種類の多様さの回復:柵内を観察すると、これまで食害によって姿を消しかけていた様々な種類の草花が力強く育っていることが確認できました。
たった一線の網でシカの圧力を遮るだけで、土壌の中に眠っていた種子や芽が息を吹き返す——自然が持つ本来の復元力の高さを、目の前で実感する瞬間となりました。

3. 「始めることはできても、続けることは難しい」保全のリアル
今回のイベント名にも「〜森を育てる、草刈り〜」とあるように、主な作業は柵の周囲や内部に茂った草を刈り取る手入れでした。
環境保全の活動において、よく言われるのが「始めることはできても、続けることは難しい」ということです。
保護柵は「作ったら完成」ではありません。
- 蔓(ツル)植物が網に絡まって重みで柵が倒れるのを防ぐ
- 台風や倒木で網が破れていないか定期的に点検・補修する
- 柵内のススキやササを選択的に刈り、他の植物に日の光を当てて、柵内の多様性の向上を促す
一時のイベントとして一度作ること以上に、何年も、何十年も現場に足を運び、地道に手を動かし続けることこそが、本当の意味で「森を育てる」ということです。汗を流しながら草を刈り、網を点検する手仕事の時間こそが、保全の要だと改めて実感しました。
4. 月1回の定期モニタリングへ|変化をデータで追う姿勢
今回のメンテナンスを経て、今後は「月1回の定期モニタリング」を実施していくことになりました。
季節の移り変わりとともに、柵の中でどのような植物が芽吹き、花を咲かせ、種を広げていくのか。定点観察を重ねてデータを蓄積していくことで、箱根の森の回復プロセスを客観的に記録していきます。
感性やイメージだけに頼るのではなく、こうした地道な観察と記録(科学的・客観的な視点)を持つことが、今後の適切な森林管理や環境教育にとっても欠かせない基礎となります。毎月の変化を追っていくのが、今からとても楽しみです。
箱根の自然とともに歩むHAKOアクション
「保全活動を始めること」以上に、「諦めずにコツコツと続け、見守り続けること」の大切さを、今回の箱根シカ塾を通じて学び直すことができました。
HAKOmetsäとしても、ガイドツアーでお客様に箱根の美しさをお見せするだけでなく、その背景にあるこうした保全の現場や課題、そして力強く再生する自然の営みを正しくお伝えしていきたいと考えています。
これからも現場での実践と検証を重ねながら、箱根の森と真摯に向き合っていきます。


